【値引きしない!】 10年で実店舗は激減する! 家電量販店の現状と未来【元販売員が予想】

デジタルネタ

yokonaga

皆さんが買い物する際はネットで買いますか?お店に行きますか?

今回は家電量販店が値引きに対してシビアになってる理由を、実店舗の現状と未来を元販売員目線から考察して書いていきます。これを知っておくことで家電製品を購入する際の補助になると思います。

さて、いきなりこの記事の未来予測の結論なんですけど、

10年で実店舗は都心部が大幅に減り、地方店は激減します。

現状ネット通販(以下EC)は凄い勢いで伸びていて、今後もその勢いは伸びていくのはほぼ間違いないです。

こと、家電製品に関しても例外ではないですが、日用品や食料品なんかと家電製品の違うところは「お店に見に来て、ネットで買う」。というスタイル。

店では買わないけど、実機を見に来るだけ。

実際、お店で働いてた時、ネットで頼んだ商品を店舗窓口で受け取るお客はめちゃくちゃいました。中には冷蔵庫なんかを持って帰る人もいるくらいでした。店舗受け取り用の商品も在庫置き場みたいな所溢れんばかりにおいてありました。

悲しいかな、その時のお店にはお客はほとんどおらずガラガラっていうのが常でした。

今やECは家電量販店においても売上の構成比率として主力となっています。

私は大きな店舗から小さな店舗まで働いていましたけど、実店舗は平日は勿論、土日すらガラガラ。コロナによってテレワーク需要が急に出てきたことで、すぐに商品がほしいという事から一時的に実店舗にも人が押し寄せてきますが、所詮一瞬だけでした。

ところがコロナになってもECで購入した商品の受け渡し窓口は大混雑。何故自宅で受け取らず、密になる店舗に受け取りに来るのかわけわからんかったですけど…。

それくらいECの需要は家電量販店にとって生命線になっているコンテンツなんです。こういう現状を踏まえてまず、各家電量販店の現状を見てみましょ。

ヤマダ電機は東京の基幹店の一つでもあった「LABI新宿東口店」が2020年閉店するなど実店舗の閉店はいまだ続いてて、あの大塚家具を吸収して、生活丸ごとヤマダで済ませるをコンセプトにしてるけど、ECサイトのヤマダウェブコムは成功しているとはとても言い難い。

ビックカメラはコジマ電機やソフマップを吸収して実店舗としての規模はグループ全体ではヤマダとほぼ同程度で大きいけど、フラッグシップ店舗のビックカメラ池袋カメラ館が閉店するなど、実体と内情は違っている。ビックカメラcomもECサイトとしてはイマイチ。

ノジマ、ケーズ、エディオンなども実情は苦しい。ラオックスみたいに完全に実店舗に訪日中国人相手だけで売り上げを形成していた会社は完全に淘汰されたり、ベスト電器もヤマダ電機に吸収されたりと、現状ですでに電気屋は次々に消えつつあるんですね。

ところがいまだに全ての家電量販店は実店舗にウェイトをおいているため経営は苦しいです。潤ってるところは無いと思います。

その中で唯一ECで一番成功しているのはヨドバシカメラです。

ヨドバシカメラも実店舗としては非常に苦しいです。Akibaや梅田というヨドバシの超大型店舗でも売り上げは落ちてるのが現状です。

でも、ヨドバシは実店舗の閉店は無く、2021年4月に山梨県甲府市の甲府駅前に出店するなど、コロナ過の中で大苦戦する他の家電量販店よりも持ちこたえています。

この状況を支えているのはどこよりも早くECサイト「ヨドバシ.com」に力を注いできたことにあります。

現在、日本国内のEC四天王は

Amazon / yahooショッピング / 楽天市場 / ヨドバシ.com

と言われています。

総合商社的な側面を持つ前の三社の中に家電量販店のヨドバシがはいってるんです。ま、とりあえず、この話は一回置いておいて、一般的に家電量販店の経営戦略を見てみましょう。ここから先のことを知っておくと家電量販店での見方もちょっと変わると思いますよ。

まず、家電量販店の利益は勿論商品が売れることで生み出されるんですけど、実は一つに対して何%利益が取れる。っていう経営スタンスよりも、

P社の冷蔵庫は今月200台売れたから、家電量販店さんに幾ら入金しますっていうスタンスがほとんどなんです。意外だと思いませんか?

だから、1点あたりの商品の利益分を値引いても、台数をとにかく出せば後から入金される分でペイできるからとりあえず値引いて1台売っちゃおうって腹の中で思ってるから、値引きに応じるんです。

多くの電気屋は今もこのスタンスなんです。ところがこのスタンス…

ネットの普及やECが黎明期までの成功モデル。今は失敗モデル。

なぜ今、失敗することになったのか?問題点は2つあります。

  1. 1,値引きの対応が多くなった。
    2,ネットでの購入が増えた。(店舗の購入がめちゃ減った)

そもそもこのスタンスの一番理想形は、なるべく値引きせずに実店舗で沢山売る事。それが1と2の問題点で潰されるわけですね。

かつて、2010年以前までは商品の知識は現場の店員に100%頼る形でした。客が情報を持ってないと店員が全てにおいてアドバンテージを持つ形になるので、いう事全てを信じてしまって言いくるめられる。

 

値引きを交渉しても、店員にある程度で抑え込まれる。
必要ないものまで案内されて購入する。

ところが、ネットの普及とスマホの台頭で、買い物しながらでも情報収集できる世の中になった。
全てがほんとの情報ではないが、一定数以上の情報が手に入ることで、値段交渉をする上でのカードを客側も持つことになった。

別に家電製品を買いに来た場面でなくてもいいです。机や椅子、車、家やマンションの購入でもなんでもいいです。

絶対に購入前にスマホかパソコンで情報収集しますよね?
情報武装したうえで購入を検討しますよね?
もっと「安くて良い」ものを探しますよね?

「安くて良いもの」があればそれを値引きの材料として提示しますよね?

店側からすると、この対応が飛躍的に増えたんです。これが上記の1です。

2についてもネットやスマホの普及からそうなったことは説明するまでも無いと思います。店舗は店で買ってもらわなければ全く意味は無いです。ネットに客を奪われたら♪ゼーローですから。

1台売るにしても安く売って、しかも台数も出ない。まとまった入金が無い。

沢山台数を売って金額を貰うスタンスがネットの普及で崩壊したんですねぇ。

そうすると店側はどうするか?わかりやすい対応をしてきます。

値引きを渋る。

そしたらアナタはどうしますか?

買わない or ネットで買う。

店は売れない。でも値引いて売ると利益を削るわけだから、更に売らないといけないけど、ECに客を持っていかれて利益が上がらない。業績は下がる。店舗をたたむ。人を削る…ってこんな感じになるわけですわ。

Yデンキとかはそんな感じですね。めちゃくちゃ店舗閉じてますしね。多店舗出店戦略はろくなことにならない。ECがここまで大きくなることが予期できれば、どっかの段階で止めることもできたしね。

ちなみに例外的に違う戦略をとってるのがヨドバシです。ここは終始一貫して企業理念として

1品に対しての利益至上主義

これはヨドバシ側も隠してないです。公式に社長(現会長)自ら紙面とかでも語ってます。

自分もヨドバシカメラに入って働いてたこともありますけど、まぁ利益に関して他のどの量販店よりもめちゃくちゃシビアでした。

お客の目線に裏返してみると、ヨドバシは値引きに関してもかなりシビアです。

それだけ聞くと他よりもやべぇじゃねぇかって思うでしょうけど、まだ他量販店に比べて耐えてるほうなんです。確かに実店舗は苦しいとおもいます。それは間違いないです。店舗が赤字を垂れ流してることも間違いないです。でも、店舗は閉めてないですし、新入社員も継続して取ってる。会社としていい会社かどうかはおいておいてね。(家電量販店なんて働くもんじゃないw)

今の時世で耐えてるのは「ヨドバシ.com」の成功が全てと言って過言でないです。というか100%これが全てと言えます。

この成功が日本のネット通販四天王の一角に食い込んでることに繋がります。

どこが凄いかはまた別の機会に。一度皆さんも使ってみてください。

利益至上主義の話に戻ります。

ヨドバシは先に話したような、まとまった数を販売して入金してもらうスタンスにプラスして、1点の商品の利益も獲得する2段構えみたいな感じです。良質なサービスを提供するために必要だからってことらしいけど。

企業として利益を追求するのは当然のこと。特におかしいとも思わない。事実自分はヨドバシでしか買い物しない。

このスタンスを維持するために、商品点数と在庫の多さ、店員の商品知識のレベル、配送の速さで長いことカバーしてきていたのかなと思う。この3点は明らかに他店と違う。

お客の目線からしたら利益第一って言われるとヒクと思うけど、ぼったくってる金額でもないし、性能に対しての金額だから特に違和感もない。わかる人やこだわる人はヨドバシで買ってる。事実有名どころのユーチューバもヨドバシで機材の買い物に来ている。

コンセプトをブラさず、新しいことに挑戦するスタンスは家電業界は必須だと思う。デジタル商材を扱ってて時代の動きに鈍感なのは「死」を意味する。

数売る戦略はECのシェアがさらに大きくなることを考えると、滅びるモデルになるのは間違いないけど、実店舗が一つも無くなるとそれはそれで困る人が沢山でてくる。

ゼロになることは無いとしても、確実にもっと多くの店舗はつぶれていくでしょうね。特に郊外店。ネットで買えるんだし。そのうち3Dでも商品見れるようになるでしょう。

10年後、小さな県だと2,3店舗くらいで、大きな都道府県でも今の3割は淘汰されてるかもしれませんね。増えることは絶対にありえないし。

店舗にも商品案内専用のAIロボットが設置されるかも。維持費が改善されれば…

家電量販店の実情の一部ですけど、わかると店側の考えも予想しながら買い物できると思いますよ。